うねび内科Blog
癌とともに生きる時代
2021/05/11先日、国立ガン研究センターが、
癌の10年生存率が59.4%と発表しました。
毎年発表されています。
もちろん色々な癌の平均で、
前立腺癌の98.7%から小細胞肺癌の11.7%まで差があります。
しかし、僕が医師になりたての頃、働いていた奈良県立医療大学の呼吸器内科では、
手術不能はステージ3Bからステージ4の方の抗がん剤治療で
半年の生存率はありませんでした。
それからも生存率の改善はあまりありませんでした。
しかし、最近の10年で急速に進歩しました。
覚えておられる方もいるかもしれませんが、
イレッサという抗がん剤が出始めてから、
患者さんの遺伝子に合う治療、
いわゆるオーダーメイド治療が始まりました。
以降の肺癌、乳癌などの治療には、
驚くばかりの進歩をして、生存率も改善しました。
ひと昔前は、働き盛りの方が癌になったら、
仕事を辞めて癌治療に専念することもよく耳にしました。
しかし、治療の進歩で、大学病院の化学療法室で、
午前中に抗がん剤の治療を受け、昼から出勤するという、
仕事と癌治療の両立できる時代となりました。
それに合わせ、法整備も進み、
企業も社員の治療をバックアップしなければいけないようになり、
今は、癌になっても癌と生きる時代にもなりました。
うねび内科クリニックの患者さんにも、
癌が見つかり、手術や抗がん剤治療を受け、
今もクリニックに通われる方もたくさんおられます。
しかも、一人の方がひとつの癌を完治して、
また別の癌治療をされている方もおられます。
3個目の癌、4個目の癌の治療を前向きに受けておられる方もいます。
人生の先輩でもある患者さんから教えられることが、僕の胸に響きます。
研修医の頃、新米医師の僕に励ましの言葉をかけて、
後に肺ガンで亡くなっていった人生の先輩でもある患者さんの、
期待に応えられる医師でありたいと思っています。