うねび内科Blog

癌とともに生きる時代 その2

2021年5月11日の『癌とともに生きる時代』の続きです。

ブログはこちら→ >>「癌とともに生きる時代」


癌になった医師、フッツヒュー・モランが1985年に提唱した、

がんサバイバーシップという概念があります。

モラン医師が、自分が癌になって体験した経験をもとに、

医師の専門雑誌に提唱しました。


医療の進歩で癌を治すだけでは、川で溺れた人を拾い上げて、

そのまま置き去りにするに等しいというものです。

拾い上げて、温かい飲み物を与えてあげることが大切と書かれています。


癌患者の癌を治すだけでなく、

治療中の経済的な問題、精神的な悩みや、

休業補償、患者の家族の負担などのサポートも、

社会の仕組みとして必要とした概念です。


先進的な医療が進歩して、

全ての癌の平均の5年生存率が昨年60%を超えました。

これに合わせて日本でもこの25年間で、

がんサバイバーシップの考え方が浸透し、

がん対策推進基本計画にも取り入れられています。


通院中の患者さんにも、

癌治療を受けつつクリニックに来られている方がたくさんおられます。

かかりつけの患者さんの検査で癌と診断されると、

癌治療はその方の自宅に近い病院、病院の専門性を考えて紹介しています。

癌以外の高血圧や糖尿病などで引き続きクリニックで治療しつつ、

がんサバイバーシップの考え方に沿って、

メンタルケア、高額医療の支援窓口の案内などを行なっています。


また、がん末期となった方に在宅医療を行うため、

訪問診療、訪問看護を提供しています。


《参考資料》https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/001020985.pdf